四国のおすすめ観光スポットをご紹介

雄大な太平洋を存分に楽しむことができるローカル線・後編 < ごめん・なはり線 / 高知県東部 >

雄大な太平洋を存分に楽しむことができるローカル線・後編 < ごめん・なはり線 / 高知県東部 > 続き

gomennahari017.JPG

土佐くろしお鉄道阿佐線、通称 ごめん・なはり線

21世紀になってから開業した 地域の大切な足ですが、風光明媚な沿線風景は 観光列車としての側面も兼ね備えています。

オープンデッキ車両のくじら列車

gomennahari018.JPG

二両保有するくじら列車は、海側の客席が半屋外のオープンデッキになっていて、雄大な自然と潮風を 肌で感じながら 列車旅を楽しむことができます。

いくつかの列車はJR線直通で高知駅まで

gomennahari019.JPG

途中駅で 上り/下り 列車交換(行き違い)が行われます。

この車両は JR四国が保有する 1000系気動車。
ごめん・なはり線の起点は後免駅ですが、いくつかの列車は そこからJR線に乗り入れて 高知駅まで運転されています。

行先が 「奈半利(なはり)」 なので、終点駅まで全走します。

琴ヶ浜松原とサイクリングロード

gomennahari021.JPG

琴ヶ浜は延長4kmに及ぶ長大な砂浜ゆえ、防風林・防潮林としての松林が発達。列車は波打ち際ではなく、主には 松林の中を通ります。

gomennahari020.JPG

所々、松林の隙間から 海を眺めることができます。
高架下に見えている舗装路は、

一般県道 高知安芸自転車道

延長15.1kmの道は歩行者・自転車専用道路となっており、海を眺めながらのサイクリングや 27番神峯寺から28番大日寺へ向かう歩き遍路さんたちが、安心して移動することができる道として整備されています。
サイクリングロードの多くの区間で かつての土佐電鉄安芸線の路盤が転用されいて、かつて存在した 駅プラットホームの遺構や、鉄道用の馬蹄型のトンネル、鉄橋を受ける橋台等を見ることができます。

gomennahari022.JPG

琴ヶ浜の西端に差し掛かりました。

西分駅・にしぶん つきこちゃん

gomennahari023.JPG

白砂青松の琴ヶ浜は、月の名所としても有名。

特に晴れた満月の夜に 海一面を明るく照らす月の光は、幻想的です。

gomennahari024.JPG

砂浜に立って 月光に照らされる海を眺めるのも良いけれど、列車に乗りながら海を眺めると より広範囲を目にすることができます。

手結港

gomennahari025.JPG

藩政時代、野中兼山(のなかけんざん)の手によって完成した掘込港・手結港(ていこう)。
現在は湾口に跳ね橋が架けられ、時間帯によって大きく持ち上がる橋梁は、珍しい風景の一つとして有名になりました。

夜須駅・やす にんぎょちゃん

gomennahari026.JPG

駅と道の駅ヤ・シィパークが併設されている 夜須駅(やすえき)は、高知県内では有名な海水浴スポット。
人魚のモチーフは、ここの砂浜で毎年夏に行われる 「ミス・マーメイドコンテスト」 に由来しています。

香我美駅・かがみ みかんちゃん

gomennahari027.JPG

香我美駅(かがみえき)がある 旧香我美町(現香南市)は、高知県一のミカンの産地。
温暖な気候で育つ 山北(やまきた)みかん は、その甘さが人気です。

高架駅になりますが、地上に降りた駅前にいらっしゃるのが、野村長平の銅像(FRP製)。
"無人島" と呼ばれた人物を輩出した土地でもあります。

赤岡駅・あかおか えきんさん

gomennahari028.JPG

赤岡駅の "あかおか えきんさん" は、幕末に赤岡の地に定住した町絵師・弘瀬金蔵(ひろせきんぞう)がモチーフ。

若くして土佐藩の御用絵師となったが、狩野探幽(かのうたんゆう)の偽作嫌疑をかけられ 高知城下追放。赤岡に移り住み 「町絵師金蔵」 として、住民に親しまれました。

芝居絵、提灯、絵馬、凧
など、金蔵が用いた画材は多岐にわたる。

金蔵が描いた絵は 赤岡の民家で大切に保管されていて、毎年夏の 土佐赤岡絵金祭り の際に、所蔵家の軒先に出され 見学することができる。

絵金蔵(えきんぐら) 公式ホームページ

よしかわ駅・よしかわ うなおくん

gomennahari029.JPG

物部川の河口左岸に位置する旧吉川村(現 香南市)は、長いものに縁がある土地。

駅のモチーフになったウナギは、かつて同村で盛んだった養鰻業に由来。現在は資源減少等により 極めて小規模なものとなっている。

旧村内の桜づつみ公園にある長さ102mの雲梯(うんてい)は、ギネスブック社に認定された 世界一長いモンキーバー
広大な野外ステージを擁する天然色劇場(てんねんしょくげきじょう)は、四国最大級の大きさです。

のいち駅・のいちんどんまん

gomennahari030.JPG

旧野市町で行われている "ちんどんコンクール"
そこに由来する のいち駅のキャラクター・のいちんどんまん。
やなせたかしさんが描かれたキャラクターと言えば、 "●●まん" 。
「まん」が付くキャラクターが多いのですが、ごめん・なはり線の20あるキャラクターの中で 「まん」 と名付けられているのは、のいち駅の のいちんどんまん だけです。

四国霊場第28番札所・大日寺への最寄り駅。

立田駅・たてだ そらこちゃん

gomennahari031.JPG

立田駅の近くにあるのが、高知県 空の玄関・高知龍馬空港。飛行機の客室乗務員をかたどった "たてだ そらこちゃん"

地上から少し高い場所にある当駅ホームや、 この高架上を走るごめん・なはり線の車内から、飛行機の離発着を間近に眺めることができます。
また、旧帝国海軍の高知飛行場を前身とする同地には、その遺構が数多く残されています。

鉄道の駅としては 空港の最寄りですが、立田駅からは約3km離れているので それはお世辞にも近くはない。公共交通機関利用で空港へ向かうには、高知駅等から バス利用が便利です。

後免町・ごめん まちこさん

gomennahari032.JPG

後免町駅(ごめんまちえき)のキャラクター "ごめん まちこさん" 。
駅が南国市(なんこくし)の中心(=都会)に位置することから、赤を基調とした都会風の出で立ちが特徴だそうです。

gomennahari033.JPG

地上部分には とさでん交通後免線 が乗り入れ、はりまや橋など 高知市街中心部へ 直接アクセスすることが可能。
土佐電鉄安芸線が運行されていた当時は、この路面電車の後免町駅と安芸線が繋がっていました。

また、国鉄と土佐電鉄は線路幅が同じ(=狭軌、1,067mm)。
そのため、安芸市を中心とする 高知県東部から出荷される農産物等を 乗せ換えることなく貨物輸送を行うことができため、ここから国鉄の後免駅へ向かう 別の路線も敷かれていました。地上と高架の違いはありますが、現 ごめん・なはり線の後免町から後免への経路は、そのルートを踏襲したものになっています。

後免駅の変遷

gomennahari034.JPG

後免駅(ごめんえき)...
JR、土佐くろしお鉄道、(廃)土佐電鉄安芸線

後免町駅(ごめんまちえき)...
土佐くろしお鉄道、とさでん交通、(廃)土佐電鉄安芸線

現代でも 町が付いているのとついていないの、何が違うの?
と、降りる駅を間違えそうですが、当地の鉄道史を紐解いてみると 更にややこしい。

一般的に、
国鉄(現JR)は 県内主要都市や県外との都市間長距離輸送。
私鉄は市内や隣接市町村との行き来を主とした 地域間近距離輸送。
この違いがあるためです。

明治44年(1911)
土佐交通(現 とさでん交通) 後免町停留場(現 後免東町停留場) 開業

大正13年(1924)
高知鉄道(廃 土佐電鉄安芸線) 後免駅(現 後免町駅) 開業

大正14年(1925)
省線(現 JR) 後免駅 開業
土佐交通 後免町駅前停留場(現 後免町駅) 延伸

大正15年(1926)
高知鉄道 後免駅 - 省線後免駅 延伸
高知鉄道・土佐交通 後免駅 → 後免町駅 改称

国鉄(鉄道省)が先に開業すれば良かったか、
後から開業した国鉄が 他の駅名にするか、市町村合併した際に 現市名である 南国(なんこく)駅 に改称すれば良かったのかもしれません。

後免駅・ごめん えきおくん

gomennahari035.JPG

ごめん・なはり線の終点 後免駅。JR・土佐くろしお鉄道の共同使用駅。

左側0番線は当駅で行き止まり。ごめん・なはり線線内を行き来する車両が使用。
右側1番線は、JRの列車と JR線に乗り入れて高知駅まで運行される(またはその逆)土佐くろしお鉄道の列車が 停車するホームです。

前編と併せて、
今回は 安芸駅から後免駅の、路線西側の乗車。
安芸駅より先、奈半利駅までの路線東側は よりローカル色が濃くなります。いずれこちらにも乗車したいと思います。

なお、
近い将来である 2021年(予定)に、あき総合病院前(仮称、安芸駅 - 球場駅前 間) の開業が発表されました。
大きな病院の近くに駅ができることは、地域医療の足として 重要な意味を持ちます。

が、心配なのは 現在20で統一されている 駅キャラクター。
路線開業当時は やなせたかし先生が存命でしたが、今は居ません。

誰かが描くとして、キャラクターは何になるのか?
20でまとまっているキャラクター商品の集合デザインはやり直し?
ほか

鉄道ファンの興味は、そちらに向けられています。

キャラクターが何か 全く予想はできませんが、新駅の場所が 岩崎弥太郎生家に近いことから、彼をかたどったキャラクターになるのでは、と勝手に予想しています。

安芸駅

< 自家用車 >
高松駅から 約2時間30分、151km
高知龍馬空港から 約40分、25km
< 公共交通機関 >
土佐くろしお鉄道 安芸駅下車

※ 主な地点からの最速・最短距離

関連記事

2017,12/7 高知龍馬空港近く、かつての海軍基地の遺構 < 前浜掩体壕群 / 高知県 > →立田駅

2017,12/13 四国にもあった特攻部隊 < 白菊隊 / 高知・徳島> →立田駅

2018,3/19 新旧が混在する土佐藩ゆかりの港 < 手結港 / 高知県 > →夜須駅

2018,12/8 ユニークな駅名の高知県の鉄道交通中心地 < 後免駅 / 高知県南国市 > →後免駅

2018,12/14 あだ名は無人島。太平洋一人ぼっちを経験した漂流民 < 無人島長平 / 高知県香南市香我美町岸本 > →香我美駅

2018,12/20 終戦翌日の爆発事故。震洋隊の悲劇 < 震洋隊 / 高知県香南市夜須町 > →西分駅・夜須駅

2018,12/26 国の将来を憂い殉じた二十三名の志士たちの墓所 < 二十三士墓所・福田寺 / 高知県田野町 > →田野駅

2019,1/1 雄大な太平洋を存分に楽しむことができるローカル線・前編 < ごめん・なはり線 / 高知県東部 > →ごめん・なはり線

この記事を書いた人

野瀬 章史
野瀬 章史/ゲストハウスそらうみ 四国八十八ヶ所霊場会公認先達 法名・照山の僧籍

四国高松でゲストハウスそらうみを運営する傍ら、四国八十八ヶ所霊場会公認先達として、お遍路さんの案内を務める。法名・照山(しょうざん)の僧籍も持つ。趣味はバイクツーリング、カヌー、登山、鉄道、料理など。日本の全離島・全地点を隅々まで回るべく、愛犬しょうとの日本一周旅の途上。