四国のおすすめ観光スポットをご紹介

100年以上の時を刻み続けて来た、手作りの時計 < 野良時計 / 高知県安芸市 >

nora001.JPG

高知県東部の都市・安芸市。

安芸川・伊尾木川の扇状地が広がる(=開いた)土地の形状が、「あき」 の地名になりました。

その開けた土地の市街地から 少し内陸に入ったところ。住宅や畑が広がる場所に、100年以上の時を刻み続けた時計が現存しています。

野良仕事を行う人々に 時を知らせた手作り時計

nora005.JPG

野良時計(のらどけい / 高知県安芸市)

一般家屋の屋根部分に取り付けられた大きな時計。

nora003.JPG

この土地で大地主であった畠中源馬(はたけなか げんま)氏は 時計に興味を持ち、アメリカから八角形の掛け時計を取り寄せた。それを何度も分解しては組み立て 時計の構造を覚え、やがて 自作の大きな時計を作ることを思い立つ。

時計の製作に必要な歯車や分銅等の部品は独学で自作し、明治20年(1887)頃完成。

まだ安芸の人々にとって、時計という機械が 一般的では無かった時代。
畑が広がるこの場所、すなわち 野良仕事をしながら時を知ることができた この時計の恩恵は計り知れず、やがて "野良時計" と呼ばれるようになった。

野良時計の姿

nora002.JPG

時計は 北面を正面として、東面・西面の三方向に据えられている。

nora004.JPG

完成当時は三面とも動いていたと伝えられるが、やがて動くのは正面のみになったと言う。

時を刻むことが止まっても...

nora006.JPG

平成16年(2004) 11月。
120年近く時を刻み続けた野良時計が止まった。
時計を作った源馬氏の孫であり 大切に管理してきた畠中秀雄氏が亡くなり、時計を動かすことができる者が居なくなったのです。

それからの野良時計は 止まったままの状態が続きましたが、平成17年6月10日。「時の記念日」にちなんで、秀雄氏のご家族や 関係者の尽力により、時計が動かされました。野良時計の復活を待ち望み 見物していた人たちからは、大きな歓声が上がったと言います。

現在の野良時計は 時計の針こそ止まった状態ですが、野良時計の存在は 安芸市を代表する風景として、市民の誇りになっています。

野良時計

< 自家用車 >
高松駅から 約2時間20分、152km
高知龍馬空港から 約40分、28km
< 公共交通機関 >
土佐くろしお鉄道 安芸駅下車 徒歩約20分、1.6km

※ 主な地点からの最速・最短距離

関連記事

2019,1/1 雄大な太平洋を存分に楽しむことができるローカル線・前編 < ごめん・なはり線 / 高知県東部 > → ごめん・なはり線

2019,1/7 雄大な太平洋を存分に楽しむことができるローカル線・後編 < ごめん・なはり線 / 高知県東部 > → ごめん・なはり線

この記事を書いた人

野瀬 章史
野瀬 章史/ゲストハウスそらうみ 四国八十八ヶ所霊場会公認先達 法名・照山の僧籍

四国高松でゲストハウスそらうみを運営する傍ら、四国八十八ヶ所霊場会公認先達として、お遍路さんの案内を務める。法名・照山(しょうざん)の僧籍も持つ。趣味はバイクツーリング、カヌー、登山、鉄道、料理など。日本の全離島・全地点を隅々まで回るべく、愛犬しょうとの日本一周旅の途上。