コトバスコラム

高知龍馬空港近く、かつての海軍基地の遺構 < 前浜掩体壕群 / 高知県 >

前浜掩体壕1

高知県南国市前浜地区。海岸に近い田園地帯を走っていると突如現れる コンクリート剥き出しの無骨な建造物。

掩体壕(えんたいごう)

と呼ばれる、戦闘機を空襲から守る防空壕。かつての高知海軍航空隊基地、現在の高知龍馬空港の近くに多数残されています。

国内最大規模の掩体壕群がある場所

前浜掩体壕15

掩体壕群がある南国市前浜地区は 高知龍馬空港に隣接。こちらの県道31号を国道55号方面(北)に向かって走ると、奥に見える青い標識の辺りで 空港の滑走路をくぐります。

前浜掩体壕2

掩体壕についての説明

地域の拠点が現在は "南国市立前浜コミュニティセンター" となっており、津波避難タワーを兼ねた建物になっています。無料駐車場、公衆トイレあり。

前浜掩体壕3

コミュニティセンターの背後すぐの場所にあるのが 2号掩体。草生してしまっています。

付近の散策を始めることにします。

米軍機による機銃掃射痕が見られる1号掩体

前浜掩体壕4

掩体壕群では最も南(海側)に位置する1号掩体

こちらの掩体の特徴は、

前浜掩体壕5

坑門に米軍グラマン機による機銃掃射痕が見られる。弾痕の大きさから判断するに、12.7mm機銃でしょうか。頑強なコンクリートが砕ける破壊力。これが人体であったらひとたまりもありません。

弾痕はついても 貫通まではしていないことが、今日まで掩体が残されている理由。
戦闘機を守ることが目的のため 極めて堅固な造りとなっていることから、戦後になり不必要になったとしても 撤去が難しい。爆破するにしても多額の費用が必要となるため、道路工事等 区画整理上止むを得ない場合を除いて、放置されている事例が多いのです。

国内最大の大型掩体

前浜掩体壕6

4号掩体

こちらは他のものと比べて一回り大きい。幅約44mは 大型双発機も入れる大きさであり、国内に残されている掩体としては最大。

戦時中はこのように丸裸な状態ではなく、上部には草が植えられる 迷彩塗装が施される等、擬装が行われていました。

5号掩体は公園として

前浜掩体壕7

5号掩体は近年整備されて、詳しい説明看板等が設置されました。掩体壕の大きさ... 人物との比較をご覧ください。

前浜掩体壕8

戦闘機がどのような状態で保管されていたか よくわかります。

前浜掩体壕9

5号掩体内部

掩体壕の造り方...
砂を盛って小山を築く

表面に板を敷いて、その上に鉄筋を組む

上部にコンクリートを流し込む

乾いたら盛った土を掘り、敷板を外す

内部を整地して

上部や前面を擬装して完成

前浜掩体壕10

5号掩体内部の天井には 敷板の模様がくっきりついていることから、板を敷き詰めてコンクリートが流されたことがわかります。

こちらは、板が用いられていることや コンクリートの質から考察するに、まだ資材に余裕があった時代のものではないでしょうか。

粗いコンクリートにムシロの跡

前浜掩体壕11

7号掩体

戦後 道路・水路敷設の際に後部が打ち抜かれて、内部に軽自動車が通行できるくらいの幅の道路が通っています。

特徴・見どころが数多い掩体壕。

前浜掩体壕12

掩体前面に成長したビワの木が顔を出しています。

内部には補強のための柱がいくつも立てられて、少々痛々しい印象。

前浜掩体壕13

それもそのはず、コンクリートが粗雑な上 敷板が用いられず、模様からムシロ(藁)を敷いた上にコンクリートを流したと思われます。
そのため内部天井が隙間だらけ。これでは強度的に問題があると言わざるを得ません。

前浜掩体壕14

コンクリートの質や ムシロの跡などから想像するに、掩体が造られた時代が新しく(=戦争末期)、相当 資材に困窮していたのではないでしょうか。もしくは急造品。
一応 鉄筋が用いられていることが 剥き出しになった部分からわかりますが、「え、これ?」というような細い鉄筋が危うい印象を受けます。

寺の鐘や家庭用の鍋までもかき集めて 鉄を確保していた戦争末期。資材が不足してくると鉄筋さえ用いられず 竹を使用した 「竹筋(ちっきん)コンクリート」 の建造物さえありました。
軍用施設では防御性から 竹筋はあまり用いられなかったようですが、古いコンクリート橋には 基礎に竹を用いたと噂される鉄道橋等が 全国にいくつか残されています。

続き

2017,12/11 四国にもあった特攻部隊 < 白菊隊 / 高知・徳島>

前浜掩体壕群

< 自家用車 >
高松駅から 約2時間、129km
高知駅から 約30分、18km

高知龍馬空港から 約10分、3km
< 鉄道 >
土佐くろしお鉄道ごめんなはり線 立田駅下車 徒歩約50分、3.5km
< 徒歩 >
高知龍馬空港から 約30分、2.7km

※ 主な地点からの最速・最短距離

この記事を書いた人

野瀬 章史
野瀬 章史/ゲストハウスそらうみ 四国八十八ヶ所霊場会公認先達 法名・照山の僧籍

四国高松でゲストハウスそらうみを運営する傍ら、四国八十八ヶ所霊場会公認先達として、お遍路さんの案内を務める。法名・照山(しょうざん)の僧籍も持つ。趣味はバイクツーリング、カヌー、登山、鉄道、料理など。日本の全離島・全地点を隅々まで回るべく、愛犬しょうとの日本一周旅の途上。