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「瀬戸内海に浮かぶ公園」のようなフェリー後編<シーパセオ/広島・呉-松山>

「瀬戸内海に浮かぶ公園」のようなフェリー前編<シーパセオ/広島・呉-松山> 続き

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選択肢豊富な座席に目が行きがちなクルーズフェリー・シーパセオですが、乗船する上でのハイライトシーンは間違いなくこちら。最小可航幅60mの海峡・音戸の瀬戸です。

平清盛の日招き伝説

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「音戸の瀬戸(おんどのせと)」は広島湾・呉湾から安芸灘(=瀬戸内海)へ抜ける最短ルート。古くは平清盛(たいらのきよもり)によって開削された伝説があり、工事に際して陽が沈みそうになった時、平清盛は太陽に向かって金の扇を「かえせ、もどせ」と仰いだところ、陽は再び戻って工事を完成させることができた。

その「日招き伝説」はともかく、平清盛自身は厳島神社の参詣道や日宋貿易(にっそうぼうえき)の航路等に音戸の瀬戸を活用。「平家にあらずんば人にあらず」と言わしめた繁栄の一助となりました。

第二音戸大橋

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音戸の瀬戸は現在「瀬戸内銀座」と呼ばれ、

幅...(南)80m~100m(北)
長さ...1,000m
深さ5m

の水域に一日約700隻。大小・用途様々な船が通行する、船舶航行上の難所になっています。

戦後、昭和36年(1961)12月。瀬戸内海の離島へ初の架橋として「音戸大橋」が完成。呉(くれ=本土)と音戸(おんど=倉橋島)が橋で繋がりました。
その後、平成25年(2013)3月。交通量の増大による渋滞慢性化や災害時の代替路の必要から、北側に「第二音戸大橋」が開通。クリーズフェリー・シーパセオは二本の橋の下を幅狭しと運航されています。

まずは北側、新しい方の第二音戸大橋を通過。こちらの橋は嵩高く、満潮時の水面から橋までの高さが39m確保されているので、船のマストがぶつかるー!という感じはありません。

瀬戸内海初の離島架橋・音戸大橋

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海峡南側の音戸大橋。
最初に出来たこちらの橋は、満潮時の水面から橋までの高さが23.5m。それでいて海峡が最も狭まった部分に橋架けられています。また、出口がカーブになっていて向こうから来る船が見えない(進入時は海峡の通行状況が見えない)。諸条件を見る限り非常に危険な水域ということが素人目にも明らかですが、厳格なルール遵守により他の狭水道と比べると海難事故の発生は少なくなっています。

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初代音戸大橋の特徴・登り口の螺旋状のループ線
音戸の瀬戸を航行する船舶の妨げないために海峡中央に橋脚を建設することができず、なおかつ脚高の橋を架橋する必要があった。昭和30年代当時そのような高架橋は前例がない上、音戸側は海峡に沿って街が広がっていることから緩やかなスロープ道路を造ることが出来る用地が無かった。
そこで架橋に先んじて、大阪市此花区(おおさかしこのはなく)の埋め立て地に実物大の走路モデルを建設して実験が行われる等入念な造り込みが行われ、螺旋状のループ橋が採用された。

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海峡最狭部が初代音戸大橋がある部分の約80m(最小可航幅60m、橋のアーチ部分の長さは172m)。
シーパセオの幅は13.6mなので十分余裕があるように思いますが、乗船していて感じるのは「スレスレ」です。この限られた水域を事故なく通過する操船技術に毎回のことながら惚れ惚れします。

左が音戸(倉橋島)
右が呉(本土)

呉側の音戸大橋警固屋(けごや)ランプ付近はツツジの名所。春にはループ橋が鮮やかなツツジの花に覆われ、大勢の方々がツツジ見物に訪れます。

シーパセオのグルメ

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音戸の瀬戸入口へ呉港出港から約20分。海峡通過に約5分。感覚的には一瞬の出来事でした。

その時は気にならなかったのですが、落ち着くとお腹が気になりました。朝7:30呉発のフェリーに乗船するため、起きてからここまで何も食べず。今更ながらお腹が空きました。

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うどんやカレーライスなどの軽食メニューの他、こちらのようなカフェメニューがあります。

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所々に広島・愛媛の特産品をあしらったメニューがあり、この時は「シーパセオひき波パフェ」を選択。

松山銘菓・坊ちゃん団子とパフェのコラボレーション。パノラマカウンターに座って、海を眺めながら頂きました。

旅の終わり

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音戸の瀬戸を通過後、シーパセオは瀬戸内海を縦断。松山沖に点在する忽那諸島(くつなしょとう)の東側をかすめて松山観光港へ入港します。

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間もなく松山観光港へ入港。

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瀬戸内海の航海を経て松山観光港へ入港しました。
シーパセオのシンボルマークは、運航されている「広島」「呉」「松山」の三都市がハートで表されて、それらを合体させたものを公園に佇むクローバーに見立てたもの。

今日、本四間の移動は高速バスを始め様々な手段がありますが、

【瀬戸内海の移動を楽しむ、みんなの公園】

クルーズフェリー・シーパセオに乗船しての広島県-愛媛県の移動。おすすめです。

運航フェリー会社

瀬戸内海汽船 公式ホームページ

シーパセオ 特設ページ

松山観光港ターミナル

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この記事を書いた人

野瀬 章史
野瀬 章史/ゲストハウスそらうみ 四国八十八ヶ所霊場会公認先達 法名・照山の僧籍

四国高松でゲストハウスそらうみを運営する傍ら、四国八十八ヶ所霊場会公認先達として、お遍路さんの案内を務める。法名・照山(しょうざん)の僧籍も持つ。趣味はバイクツーリング、カヌー、登山、鉄道、料理など。日本の全離島・全地点を隅々まで回るべく、愛犬しょうとの日本一周旅の途上。