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「瀬戸内海に浮かぶ公園」のようなフェリー前編<シーパセオ/広島・呉-松山>

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本四三橋時代(明石・鳴門大橋、瀬戸大橋、しまなみ海道)になって久しいところですが、本州・九州と四国を連絡するフェリーは今も活躍しています。こちら広島・呉から松山の間を運航する瀬戸内海汽船さん。去年新造船が就航、健在ぶりをアピールしています。

旅の始まりは広島県から

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広島県呉市(ひろしまけんくれし)
県を代表する都市の一つ。かつて鎮守府(ちんじゅふ)が置かれ、海軍の拠点の一つとして非常に賑わいました。その繁栄は、昭和10年(1935)の国勢調査で全国の都市人口の中で第9位を記録するほど。同様の現象は神奈川県横須賀市、長崎県佐世保市に見ることができますが、いずれも海軍の拠点となっていた街です。

軍需産業で培われた技術は、戦後に各種工業を興す礎になりました。鉄鋼や造船など、重工業が呉市の基幹産業になっています。

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今回の船旅は、その呉市から乗船。

フェリーは、
広島港(宇品)→呉港→松山観光港

と運航されていますが、この「呉」に寄港するというのがなかなか便利。
広島市の乗り場は市南部の宇品港(うじなこう)なので、広島駅ほか市街地から離れた地域。市内電車に乗車する必要があります。
対して呉はJRの呉駅から呉港まで自由通路で直結。雨の日も安心です。

遅刻して広島港での予定便に間に合わない時は、JR呉線で呉へ先回りすれば間に合う場合があります。
また松山から最終便に乗船する場合、広島港まで行ってしまうと市内電車が運転されていない時間の到着になるので、呉で下船してJRで広島方面へ向かうよう案内があります。

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広島から来た予定便に乗船。平日朝なので乗船客もまばら。心置きなく新造船・シーパセオを楽しむことができそうでワクワクします。

豊富な座席バリエーション

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【瀬戸内海の移動を楽しむ、みんなの公園】
がコンセプトのクルーズフェリー・シーパセオ

sea=海(英語)
paseo=遊歩道(スペイン語)

を組み合わせ名付けられました。その名の通り、3Fデッキに立った時の「海に浮かぶ公園感」はこれまでのフェリーには無かった遊び心です。

乗船してまず目に入るのは座席バリエーションの多さ。屋内外に数種類設置された座席に、どれに座ろうか良い意味で迷います。

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「リフレッシュラウンジ」

1名・2名と言った少人数でも利用し易い座席配置。テーブルがあるので飲食やちょっとした物書きの際などに便利です。

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「リラックスシート」と「パノラマソファ」

こちらは2F船首部分にある座席。

前者がリクライニング機能を備えた座り心地が売りの席種。
後者が窓に最も近く、瀬戸内海の前面展望をゆったり座りながら楽しむことができる座席。映画館のような段差がつけられているので、後席に座ると前の人の頭で何も見えない、ということはありません。

感覚的には、この「パノラマソファ」が一番人気があるように思いました。
※着席されている方が多かったので写真は撮っていません

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「OZASEKIエリア」

座敷
座席
の特性を合わせたような席種。靴を脱いでカーペットに上がります。座席は全てが船首向きに設置されていてちょっとした目隠しがあるので、半個室のような雰囲気。

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「ひき波のHANARE」

船内を移動してこちら船尾部分に設置されている座席。

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フェリーの座席と聞いてイメージするものと言えば「カーペットに寝そべる」
そんな座席も用意されています。座ることも、(状況を考えた上で)寝ることも自在。

【多種多様なお客様が、思い思いの時間を過ごすことができる憩いの場】

のコンセプト通り、快適さはもちろんですが選択肢の多さから来るワクワク感を楽しむことができます。

なお、ホームページを参照すると

↑船首
【快(Comfort)】...
パノラマソファ、リラックスシート・OZASEKIエリア・GORONEエリア(未取材)

【会(Communication)】...
リフレッシュラウンジ、パノラマカウンター(未取材)、KOAGARIエリア(未取材)

【開(Open)】...
ひき波のHANARE、その風のパティオ
↓船尾

これらの区画に分かれているようです。
わりと慌ただしく船内を見て回った印象がありますが、それでもまだ網羅できていない座席がたくさん。たぶん、何度乗船しても同じ事になる気がします。天気や季節、海の様子も日ごとに変わります。シーパセオに乗船する時は、良いほうの意味でいつも落ち着かないと思います。呉から松山の航海約2時間なんてあっと言う間!

空中庭園もある3Fデッキ

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3Fシャイン・デッキに出てみます。
冬の朝なのでとても寒いのですが、この天気で外に出ないのはもったいな過ぎます。

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「しお風のグリーンテラス」
人工芝が敷かれた屋上デッキ。

【瀬戸内海の移動を楽しむ、みんなの公園】

公園には緑が必要。本物の緑とはいきませんが、コンセプトを体現しています。
思わずボール遊びがしたくなるような開放感ですが、両脇は海でボールは落下し放題。他の乗客もいるので、それはこらえます。

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「しお風のガゼボ」
ガゼボ=あずま屋

公園には必須の施設。同じものが5個設置されていますが、そのうちのいくつかはデッキから突き出たバルコニーに置かれています。外側に座ると、海の上に浮いているような感覚になることが可能。
このような設備や仕掛けは、他のフェリーで見たことがありません。

吹き抜けのマスト部分にも一工夫

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「そよ風のパティオ」

船尾のマスト部分はデッキに覆われ、2Fパッセンジャー・デッキと共通の部分。

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2Fからはこの通り。吹き抜けの構造になっています。

それぞれの椅子が円形に配置されていますが「そよ風」の名称通り、3Fシャイン・デッキよる当たる風は柔らかい。「外の空気を吸いに」程度出たい時に便利です。

シーパセオ船内案内図

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2Fは様々な席種がある「パッセンジャー・デッキ」
3Fは風や潮の匂いを感じながら瀬戸内海のクルーズを肌で感じることができる「シャイン・デッキ」

魅力的な席種が本当に多く、一箇所で留まっているのがもったいない。フェリー移動をただの移動してしまわない、素晴らしい空間と仕掛けがシーパセオには散りばめられています。

続き

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「瀬戸内海に浮かぶ公園」のようなフェリー後編<シーパセオ/広島・呉-松山>

運航フェリー会社

瀬戸内海汽船 公式ホームページ

シーパセオ 特設ページ

呉港フェリー乗り場

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この記事を書いた人

野瀬 章史
野瀬 章史/ゲストハウスそらうみ 四国八十八ヶ所霊場会公認先達 法名・照山の僧籍

四国高松でゲストハウスそらうみを運営する傍ら、四国八十八ヶ所霊場会公認先達として、お遍路さんの案内を務める。法名・照山(しょうざん)の僧籍も持つ。趣味はバイクツーリング、カヌー、登山、鉄道、料理など。日本の全離島・全地点を隅々まで回るべく、愛犬しょうとの日本一周旅の途上。