四国のおすすめ観光スポットをご紹介

ワイルドな素掘りトンネルとミステリアスな滝<大釜隧道・大釜の滝/徳島県那賀町>

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山がちな四国。幹線道路から一歩中へ入ると、山間部を中心に狭い道だらけ。道幅が一車線程度の「酷道(こくどう)」「険道(けんどう)」はたくさんあります。こちらは岩をくり抜いただけの原始的なトンネルですが、国が管理する「国道」です。

大釜隧道

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国道193号。高松市民にとっては馴染みのある「塩江街道(しおのえかいどう)」、もしくは「空港通り」。これらは同じ国道193号です。

四国の大動脈・国道11号から分岐して南進。高松空港を過ぎて塩江温泉の先で香川県から徳島県へ入り、「うだつが上がらない」の例えで有名な脇町(わきまち)、吉野川を渡って再び山間部に入る辺りから、酷道としての193号が始まります。

※今回は↑これとは逆の南側からアクセス

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大釜隧道(おおがまずいどう)

岩盤をくり抜いただけの豪快な素掘りトンネル。林野庁が管理する未舗装の林道などで見ることはできますが、舗装されている国道でこのようなトンネルは珍しい。

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大釜隧道最大の特徴「素掘り」
岩盤をくり抜いただけの原始的な工法のみならず、コンクリートの吹付などの補強も行われていません。地質調査の結果、よほど強固な岩盤と判断されたのでしょう。

決して長くはないトンネルですが、内部に電灯等はないため中央部は真っ暗。所々漏水による水たまりがあります。
車両が通行する際などの振動で小石程度の落盤は頻繁にあるはずですが、路面・路肩共に落石はあまり見られませんでした。国道規格の維持管理が行われている証です。

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大釜隧道の諸元は、

延長...102m
幅員...4.2m
高さ...4.5m
昭和36年(1961)竣工

同年4月3日、NHK朝の連続テレビ小説(通称朝ドラ)が放送開始。第一作は「娘と私」。原作は四国愛媛にゆかりある獅子文六でした。

参考までに自分のフィットの幅...1695mm、高さ...1525mm
同型のフィットであれば理論上はトンネル内で離合することができますが、先に対向車がトンネル内に進入している時は、入口で通過を待ってからトンネルに入る方が賢明です。

大釜の滝

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「大釜」の名称の由来は、トンネル北側にあるこちらの名瀑に由来します。

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日本の滝百選にも選ばれている「大釜の滝」

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落差約20m。水が溜まっている滝つぼの深さは15mにもなるそうです。

このミステリアスな雰囲気が手伝って、いくつもの伝承が生まれました。
深い滝つぼの底には滝の主である大蛇が棲むとか、平家の落人が追手から宝を奪われないよう滝つぼに沈めた等。

普段はそれほど交通量がある場所ではありませんが、紅葉の一時期のみ車がどっと増えます。

小釜の滝

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大釜があれば小釜もある。ということで、トンネル南側から少し下った場所にあるのが「小釜の滝」

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国道上の橋から眺めるとこの通り。

大釜の滝と違って道路から滝を見ることはできません。おそらく川に浸かりながらじゃぶじゃぶ進むしか...
大釜のように滝の音など迫力はありませんが、流れが緩やかなぶん水の流れは穏やか。水の清冽さも手伝って泳いでいる魚など丸見えです。

大釜の滝

< 自家用車 >
高松駅から 約2時間30分、91km
高松空港から 約2時間10分、80km
徳島阿波おどりから 約1時間50分、67km

※ 主な地点からの最速・最短距離

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この記事を書いた人

野瀬 章史
野瀬 章史/ゲストハウスそらうみ 四国八十八ヶ所霊場会公認先達 法名・照山の僧籍

四国高松でゲストハウスそらうみを運営する傍ら、四国八十八ヶ所霊場会公認先達として、お遍路さんの案内を務める。法名・照山(しょうざん)の僧籍も持つ。趣味はバイクツーリング、カヌー、登山、鉄道、料理など。日本の全離島・全地点を隅々まで回るべく、愛犬しょうとの日本一周旅の途上。