コトバスコラム

印象的な銀杏の絨毯と、古堂がある寺院 < 禅蔵寺薬師堂 / 愛媛県 >

禅蔵寺1

紅葉狩りを楽む行楽シーズンが終わり 冬がやってきました。木の葉は落ち 出かけるのをためらうような寒い気候になり、師走の忙しさと併せて 旅が遠のく... のは、少し残念。

温暖な四国では もう少し紅葉を楽しむことができる木があります。銀杏(いちょう)です。

禅蔵寺薬師堂がある場所

禅蔵寺2

国道56号を 宿毛から宇和島に向かって走っていると現れる こちらの看板。

"禅蔵寺薬師堂(ぜんぞうじやくしどう)"
とあり、愛媛県指定文化財が この場所にあることを知らせます。

禅蔵寺3

国道から離れること1・2分。小高い丘の上に石垣があり、小さな山門と大きな銀杏の木が目印。

強大勢力の影響を受けていた? 南予の寺院

禅蔵寺4

臨済宗妙心寺派 法林山禅蔵寺

南予(愛媛県南部)の寺院の特徴として、四国他地域と違って "禅宗" のお寺が多く見られる。禅宗(ぜんしゅう)とは、「臨済宗」「曹洞宗」を指す。
江戸時代以降 当地を治めたのは伊達家。歴代藩主によって南予各地の寺院改修が行われているが、その際に伊達家の宗派である臨済宗に改められた寺院は多い。

また、愛媛県南部は かつては陸上交通が困難な地域であったことから、文化が流入したり 交易が行われるのは、専ら海から。特に 海を隔てて向き合う東九州からの影響が大きかった。
とりわけ 九州の強豪・島津氏の治める薩摩から愛媛県南部は(全国的に見れば)遠くは無いエリア。島津氏の宗派は歴代曹洞宗であり、南予には曹洞宗の寺院が多いことから、その影響を受けていたことも考えられる。

伊達・島津共に中央から離れた遠く離れた大領地を治める、当時国内有数の実力者。どちらも裏の顔は反徳川だったでしょうから、幕府の目が行き届きにくいこの場所で 密通があったとしても不思議はありません。

室町時代の様式を伝える古いお堂

禅蔵寺5

真黄色に染まる銀杏の葉。木にある時と 地面に落ちた時、二度楽しむことができます。
その両方を楽しめればいいのですが、紅葉はその年の気候によって異なるので ドンピシャのタイミングで来るには難しい。

毎年来ているのですが、今年は落葉のタイミングでした。

禅蔵寺6

愛媛県指定文化財薬師堂
茅葺屋根の上部に小さな瓦屋根が乗る 独特の形。

禅蔵寺7

再建は江戸年間ながら 創建は室町時代と伝わる、県内屈指の古い建造物。

外側の窓は "花頭窓(かとうまど)" と言って、古い禅宗の様式を伝える貴重な形。こう言った点が 文化財と認められる。

禅蔵寺における紅葉のタイミング

禅蔵寺8

禅蔵寺の銀杏の紅葉は、毎年12月上旬。境内背後に山があり 西日が当たりにくいため、他地域の銀杏と比べて紅葉時期が遅い。

遠方ゆえ 狙っての訪問が困難ですが、自分にとっては 四国に冬の訪れを知らせる、特徴的なスポット。禅蔵寺の銀杏が真っ黄色に染まる紅葉を、毎年楽しみにしています。

禅蔵寺薬師堂

< 自家用車 >
高松駅から 約3時間20分、254km
松山空港から 約1時間50分、113km
< 鉄道 → 路線バス >
JR宇和島駅下車 → 宇和島バス 大門停留所下車、徒歩すぐ

※ 主な地点からの最速・最短距離

この記事を書いた人

野瀬 章史
野瀬 章史/ゲストハウスそらうみ 四国八十八ヶ所霊場会公認先達 法名・照山の僧籍

四国高松でゲストハウスそらうみを運営する傍ら、四国八十八ヶ所霊場会公認先達として、お遍路さんの案内を務める。法名・照山(しょうざん)の僧籍も持つ。趣味はバイクツーリング、カヌー、登山、鉄道、料理など。日本の全離島・全地点を隅々まで回るべく、愛犬しょうとの日本一周旅の途上。